2014年09月14日

第三舞台:朝日のような夕日をつれて2014みてきた。

これ、やってたのとか知らなくて、たまたまe-plusにアクセスしたときにもうだいたい売り切れてたチケットがたまたまキャンセルが出たのか買える状態になってて思わずポチっとしてしまったので、観て来ました。第三舞台「朝日のような夕日をつれて 2014」@池袋サンシャイン劇場。

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これは80年代ぐらいの小劇場好きならまず知ってるだろうという、第三舞台(鴻上尚史主宰)という早稲田演劇研究会系の劇団の旗揚げ公演の演目にして代表作、というやつで、何度か再演されてますが、今回は1997年以来の再演だったようですね。すごいな。

私自身が第三舞台のお芝居を見ていたのは80年代の後半で、一番最初に見たのが今でも忘れない下北沢のスズナリ劇場での「もう一つの地球にある水平線のあるピアノ」でした。当時売れっ子になりはじめていた第三舞台が最後に小さな小屋でやった舞台です。このときの筧利夫のポチ役は、踊る大走査線より何よりも彼の代表作であると信じている私。

当時私は確か14歳ですから、中二病真っ盛りです。中学から高校生ぐらいまでの私は小劇場のお芝居にのめりこんでおりました。大学受験のときに「ベケットやりたい」とか言って演劇学科と仏文受験しちゃってるんですから相当です。当時はボリス・ヴィアンにもはまってたので、数が少ない演劇学科のある学校以外は仏文で受験したんですね。結局仏文に入って卒論はベケットで書いたので、一応初志貫徹はしてるという。

そんな私ですが、第三舞台で最後に観にいったステージは、たぶん1989年、大学に入学した年ですが、新宿でやった「ピルグリム」だと思います。とすると観にいくのが実に四半世紀ぶり。指折り数えてみてひえー、ってなってました。

身の回りにもそういうお客さんが多い感じでした。はっきりいって、客の平均年齢高すぎ、って感じで(40〜50代中心って感じ)、客席入ってうっかり同窓会に来てしまったような気分になりました。第三舞台のステージではその時々のトレンドな出来事やキーワードが使われることが多いんですが、トッキュウジャーとかがネタとして出てくるあたりに、作ってる側も見てる側ももう親の世代だからな…とちょっと苦笑いしちゃったりして。

こういう「時代と添い寝する系」の演劇というのは、本当にその時代に体験しておくことしかできなくて、演じる役者へのあてがき的な部分も多いし、映像化された過去の舞台を見てもやっぱり当時の「気分」というか空気感的なものには完全には寄り添えないわけで、繰り返し再演し得る戯曲とは違う独特の儚さがあります。それでも、2時間弱の舞台の最後に、あの伝説的なエンディングが来たときには胸にしみるものがあっりました。

【…この宇宙は分子によって成立している。どんなに多くても、有限な分子によって成立している。だとすれば、有限な分子が、有限な組み合わせを、無限な時間のうちに繰り返すなら、もう一度、あの時と同じ分子配列が偶然に出来上がる。その時、私は、あの時と同じ状態でそこにある。その時こそ私は、私でなくなったあの瞬間に、真っ向から立ち向かおう。何にもたよらない、何も待ち続けない、固有の人間として、私は私の寒さを引き受けようと決めたのです。

リーインカーネーション。生まれ変わりを私は、信じます。

舞台後方がせり上がり、傾斜が出来ていく。そこに立ち続けるスーツ姿の五人の男のユニゾンによるモノローグ。

朝日のような夕日をつれて 僕は立ち続ける
つなぎあうこともなく 流れあうこともなく
きらめく恒星のように
立ち続けることは苦しいから
立ち続けることは楽しいから
朝日のような夕日をつれて ぼくはひとり

ひとりでは耐えられないから
ひとりでは何もできないから
ひとりであることを認めあうことはたくさんの人と手をつなぐことだから
たくさんの人と手をつなぐことはとても悲しいことだから
朝日のような夕日をつれて
冬空の流星のように ぼくは ひとり



もう10代ではないので、涙が出るということはなかったのですが、40過ぎてあらためて22歳の鴻上尚史が書いたこの台詞に触れて、それだってもちろん未熟な年齢なわけですけれども、さらに未熟な10代だった私が、希望とか絶望とかのリアルな感覚も意味もよくわからないままこういうステージの幾つかを経験して、わけもわからないまま心を揺さぶられたことっていうのは、それはそれとして間違ってなかったんだよなぁ、と思ったりしました。

今思うと、下北沢の劇場だとか早稲田の大隈講堂裏のテントとか、今はもうない駒場東大の胡散臭い学生寮の奥にあった小劇場とか、あんなところに中学生や高校生で出入りしてたってのは、相当な背伸びだったよなぁと思うのですが、でも10代後半で触れたものってやっぱりどういう形であれ一生引きずるものなんだなぁと思うんですよね。

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posted by なつめ at 00:33| Comment(2) | TrackBack(0) | おでかけメモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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