2014年12月22日

「6才のボクが、大人になるまで」みてきた&福岡お疲れさまでしたん♪

前からちょっと気になってたんですけどタイミング逃して見られてなかった映画、新宿が終わっちゃう!と思って観にいきました。んがっ新宿立ち見と言われて結局日比谷まで観にいきました…

6才のボクが、大人になるまで


ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した作品だそうです。何がすごいってこれ、主人公の6才の少年メイソンJR.が18才になって独り立ちするまでの期間を、【12年かけて】とってるということ。ドキュメンタリーじゃなんです。劇映画なんですよ。でも、まる12年、同じキャストが同じ役を演じ続けた映画なんです。もちろん365日ってわけじゃなくて、毎年夏の数日間を撮影にあて、それを12年続けたんだそう。

わが国には「北の国から」というギネス級の超連続ドラマがありましたが、この映画はそれよりもっとこじんまりとしています。メイソン6才と姉のサマンサ、母親のオリヴィアの3人家族、別れた夫のメイソン(シニア)の4人家族の12年間を、息子のメイソン(ジュニア)を中心に、淡々と紡いだ作品で、「これは何年」「これは何年」なんていう区切りもないし、小うるさい説明もなく、台詞と映像だけで状況を飲み込め、という作品。

近頃こういう、きちんと客を放り出す作品が少なくなってる気がするので、私はものすごく好きでした。時代年代も、流れる音楽、ちらっとうつるゲーム機(大昔のX-BOXからWiiへ)だとか携帯(からiPhoneへ)、車、パソコン(懐かしのボンダイブルー!そして薄型ノート、一体型へ)、や登場人物たちが話題にする選挙の話などで大まかに察するしかないし、区切りの繋ぎも特別なことをしてないので、「ん?子どもの背伸びた?」とか「あ、髪型代わった」とか「お母さん太った」とかで、新たな一年が積み重なったことに観客が自分で気づくしかない。こういうのってすごく好きなんです。

台詞にも出てこないし物語の本筋とも関係ない、壁に貼られたピンナップとか、登場人物のちょっとした服装なんかを見ながら、登場人物のキャラクター設定とかを読み取りながらみていくのがすごく面白くて、できればDVDでまたゆっくり観て見たいなぁと思った。私、映画は映画館で、派なんですが、この作品については、DVDで一人で見るのもよさそうだなぁと思った。

なんていうか、上みたいな細かいところが見直したい需要だけじゃなくて、子どもの成長記録をハンディカムとかで撮ったりしたやつって、大勢人がいる映画館より、家でひっそりお酒でも飲みながら観たくないですか。それに近い感覚というか。

12年間の間に、これといって大きな事件とか人が死ぬとかはありません。まあ、全然なんにもないわけじゃないんだけど、どれもたぶん、アメリカの典型的な家族に起きる典型的な出来事で、渦中にいる人間にとってはしんどかったり特別だったりするんだけど、でもまな板に並べてしまうと「まあ、よくあることさ」って言われちゃうような、そういう凡庸さ。そこがまたいいんだよなぁ。

こんなの、いくらでもドラマチックに作ろうとすればできるはずなんだけど、でもあくまで市井の人たちの、ドラマになりそうだけどならないし、上手くいきそうだけど行かない、もどかしい毎日を本当にうまく再現した映画だなーって思います。それでもドキュメンタリーじゃなくて劇映画っていうところがいい。毎年、撮影前に、その年のストーリーを話し合って撮影したんだそうで、出演者の経年変化が違和感なく物語の中に織り込まれているのは、そのキメうちじゃない作り方にも秘密があるんだろうなと思います。これ、真似しようとしてもなかなかできることじゃなくて、たぶん映画史に残っちゃう作品になるんじゃないかなぁ。

若くして母親、父親になってしまったオリヴィア、メイソン(シニア)の両親がすごくいいです。シングルマザーで自分はしっかりしなきゃとか色々考えてはいるんだけど、まあ選ぶ男選ぶ男だめんずばかり、考えすぎて過保護になったり色々たまって娘にきっついこと言われて逆ギレしちゃったりする母親、そして若い頃にはやんちゃしましてねぇ、でも今じゃ保険の外交やって新しい奥さんの実家の保守的な義父母とも上手くやってます、そして別れた子どもたちともわりかしいい関係です、人間的には相変わらずチャラいけど!みたいな、ダメダメでだけど憎めない父親。そんな両親、特に母親の再婚、離婚、再婚、離婚に振り回されながら大人になっていく姉弟。

家庭環境もあって子どもたちもわりと早く大人びてはいくんだけど、それでも思春期にはそれなりの反抗期を迎えたり、何か自意識が芽生えはじめて青臭い思想を女の子に向かって延々語っちゃったり、そういう「なーんーかーありました!自分もありましたこれ!!」みたいな、穴があったら埋めてしまいたい黒歴史的な、でも誰もが通り抜けてくるような少年期、思春期を通過して、大人になっていく少年、少女の表情の瑞々しさ。

子役ってまあどんどん顔とか体型とか変わっていくんですよねぇ。あ、太っちゃったとか、わぁ、急に背が伸びた!とか、なんというか盆暮れぐらいしか会わない親戚の子ども見てるみたいな感じです。そして、子どもたちだけじゃなく両親たちもまた、親として、人間として、ちょっとずつ成長して、変わっていく。その感じがすごくよかったです。

誰も完璧じゃないし、色々欠点がある。だめんずツアーを延々続けてるオリヴィアも、たまに会いにきちゃちょっといいこと言って帰っていくという美味しいとこどりで、でもあれこれ抜けてるし押し付けがましいところもあるメイソン(父)も、人として親として最初から完璧じゃないし、物語の最後まで、人として親として完璧にはなっていかない。成長する部分もあれば、失われていく部分もある。

でも、彼女も彼も、その不完全な人間なりに、子どもたちのいい親でありたいと懸命にもがいてるのが台詞の端々とか表情からわかるし、その努力がトンチンカンだったり通じなかったりすることがいっぱいあっても、彼らなりの成長は僅かながらあって、小説みたいに何もかもぴたっと上手くはいかないけど、それでも続いていく毎日は美しいなぁ、とか、そんな暖かい気持ちが残りました。色々分かっているけど、あるいは含むところはあるけれど、あえて言葉にはしないでおくところとか、そういう家族のリアリティも随所にあって、共感したなぁ。

そして、父親も母親も知らないところで成長していく子どもたちの姿を観ながら、自分も親の知らないところで少しずつ大人になっていったように、自分の子どももどんどん知らない世界で成長していくんだなぁ、とあらためて思ってジーンとなったりしてました。ラスト、これから大人の世界に踏み出していく少年の中に蓄積された時間を、二時間程度の映画の中で一緒に経験してきたからこそ、彼のこれからを想像して、うん、がんばれ!って気持ちになる。

父親であったり母親であったりするということは、この映画を観る条件にはならないと思うけど、自分自身が思春期真っ盛りというより、それをちょっと通り過ぎた20代以降の方にオススメしたい映画です。老いていく自分の親に対する視線とか、自分が通過してきた青春時代の、すごく真剣で、でも通過したあとなんとなく気恥ずかしくてなかったことにしてきたものへの視線とかが、映画観る前と後では少し変わるかも知れません。

11月から上映始まった映画ですが、まだ色んなところでやるみたい。機会のある方は是非、劇場へ足を運んでみてください。劇場でみる利点がひとつあるとすれば、これ35ミリのフィルムで撮影してる映画なんです。デジタル撮影全盛のこの時代に、フィルムの色が見られるのって稀有だと思うので、そのあたり劇場に行かれる方は是非堪能してください。


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posted by なつめ at 02:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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