2015年06月08日

中日文楽みてきた!…その2+KRY兄さんお帰りライブ@横浜

あああ、先週の文楽の感想書き終えないうちにあっという間に一週間たってしまいましたー。忘れないうちにメモメモ。

土曜日は栄のホテルに泊まって、朝ご飯はホテルの近くのハッシェル・カフェっていうカフェでキッシュのセットを食べてきました。ビルの3階だったかな、エレベーターが柱の裏側みたいなとこにあってちょっと入り口わかりづらいんですけど、中はとっても乙女なカフェで、私が入った10時前後ぐらいはガラガラだったんですが、のんびり食事して出てみたら、5〜6人お客さん並んでました。大通りから一本裏に入ったみたいなとこなのに、人気店なのかな…。

キッシュはたっぷりのサラダがついてものすごく大きくて、これにスムージーをつけたので満腹!文楽寝ちゃったらどうしようと思ったけど、やっぱり大好きな演目「女殺油地獄」だったのでそこは舞台に釘付けでした。

前回みたときも与兵衛は勘十郎さんだったんですが、やっぱりこの与兵衛という人間の愚かさ、小ささ、虚勢をはってるけど寂しがりやで見栄っ張りで短絡的で、どうしようもなく救いようのないクズっぽさに、でもすごいリアリティと説得力があって、はぁーって見とれてしまった。侍に泥をかけてしまい、あとで手討ちにしてくれる、と叔父に叱られ、「斬られたら死ぬ、死んだらどうしよう」と怯えて震える小心者、なのに自分の借金を返すために、何の罪もない他人の女房を刺し殺すにあたっては、子どもを残して死にたくない、と命乞いをする女に「おお、死にともないはず、尤も尤も。こなたの娘が可愛いほど、俺も俺を可愛がる親父がいとしい。金払ふて男立てねばならぬ。諦めて死んでくだされ」という身勝手さ。

終わった瞬間に、まわりのお客さんが口々に「ありゃ人間のクズだな」「最低」って言ってたもんね。でも、顔のパーツだってろくに動かない操り人形に、見た人たちがここまで嫌悪感持つってすごくないですか?すごいと思うんだよー。

今回のパンフレットは中日劇場特別版って感じで、普段劇場で売ってるパンフレットより高かったんですけど、玉男さん、勘十郎さん、和生さんのスペシャルインタビューが入ってて、あと、女殺油地獄の背景トリビアが入ってたりして、それも面白かったです。当時の油商人たちがどういう組合組織を作ってたか、とか。

私最初にこの演目みたときは、この殺されるお吉も、なんかこう無防備というか隙があるというか、ちょっと年下の与兵衛に甘えられることに関してまんざらでもないところがあるような気がして、なんで同業者のとこの息子だからってこんな親切に面倒みてやるのかなぁ、って疑問だったんですが、株仲間という同業者組合の結びつきの強さとか、当時の大阪の商人の事情があって、その上での面倒見のよさなんだなぁと思うと、人の好いのが祟った感じで余計気の毒に見え、与兵衛の悪さが余計に際立つという…

なんだけど、これ勘十郎さんの演じ方がそうなのか、与兵衛これだけの最低人間であるにも関わらず、どこかしら憎めない人間味が滲み出るところが不思議なんですよね。本当に親の気持ちなんてこれっぽっちもわかってないし、周囲にこんなに彼に親身になってくれる人が沢山いて、更生するチャンスだってたくさんあるのに、そのすべてのチャンスをいちいち自分から遠ざけてしまう愚かさ。逃れられそうなのに逃れられず、破滅へと至る不幸な転落に、どこかこの世界の無常を感じてしまう。

そのへんは、演じる大夫さんや人形遣いさんもなんですが、脚本がやっぱ上手いんだと思うのです。近松の描く人物像って、やっぱりちょっと他の作家とは市井の人々の心理描写とかのリアリティが違う気がするんですよねぇ。だから、どこか普遍性があって、現代になっても受け入れられやすいんじゃないかなぁ。今回は基本的に口上目当てだったので、日帰りにしようかとも思ったんですが、この演目このキャスティングで観たい、と思って一泊にして、やっぱりよかったです。

あと、前のエントリでも書いたけど、大夫さんでは咲甫大夫さんがよくなってきてる気がする。以前は語りわけとかわかりやすいし、聞き取りやすいのはいいと思うけど、そんなに心を揺さぶられる感じはしないなぁと思ってて、ものすごく人気あるけど、自分的にはあまりピンとこないな、っていう印象だったんですが、ここ数回、最初みたときよりずっと語りに深みがあるなぁって感じるようになった。心に響くっていうか。咲甫大夫さんはまだ若いので、これからもっともっとよくなるんだろうなぁ。

文楽って、いろいろ見るにつけ、大夫さんがかなりお爺さんになってからのほうが、声に滋味というか、深みみたいなのが出てくる気がするんですよね。でも、そこから先は体力がどんだけ続くかとの戦いになる。年取れば体力落ちるしあんまり長い場面を演じきれなくなる。だから、ものすごく長いことやるように見えて、実はスポーツとかと同じぐらい、本当に自分がやりたいことがやりたいようにやれて体力も続く、っていう期間は案外短いんじゃないかと思う。

今回の女殺油地獄ではクライマックスの油店の段を語った咲大夫さんがこの演目語り納めということで、円熟の語りっていうのはこういうのを言うんだろうなぁと思いながら聞いてました。語り納めって、この演目は自分でもうやらないって封印しちゃうんですかね。素人からするともったいないみたいに思っちゃうのですが、やっぱりスポーツ選手が引退決めるときみたいに、最高の芸でなくなる前にこれは語り納める、みたいなことを決意するってことなんだろうな…

というわけで、基本的には口上が目当てだったんだけど、色々と贅沢に楽しんできた二日間でした。7月、SMTでの大阪行きにあわせる公演のチケットも無事にゲットしました♪2部の「生写朝顔話」を観にいきいます。なんか、悲恋モノっぽいです。予習していこう…。この日(土曜日)は、大阪では天神祭りもあるんですよね。花火見られるといいなぁ。

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posted by なつめ at 00:26| Comment(1) | TrackBack(0) | マイブーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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