2011年10月27日

追悼:北杜夫さん

北杜夫さんが亡くなった。っていうかキタモリオぐらい一発変換して欲しい。それぐらいおっきな人だ。

どくとるマンボウはもちろん面白かったけど…
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子供と読むならやっぱり「船乗りクプクプの冒険」。
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子供がはじめて読むナンセンス小説にオススメ。

私にとっての思い出の作品は、「楡家の人びと」。
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なんでそんなことをしようと思ったのか思い出せないのだが、小学生(たしか五年生か六年生)のとき、一週間で細雪(谷崎潤一郎)を読破して、次の一週間で楡家の人びとを読み、読み終わったところで知恵熱を出した、という…。

それと、もう一冊、どうやら今絶版らしいのだが、すごく好きな小説が、「白きたおやかな峰」。ヒマラヤを目指す男たちの姿を描いた山岳小説で、医師でもあった北杜夫が実際に登山隊遠征に同行した体験をもとに書かれている。よくある「デデンデンデデン」的な音楽と一緒にヘリの空撮で始まる登山映画っぽいのを想像しないで欲しい。この小説のよさは、そういう見せかけのかっこよさのない中で、でも登場人物ひとりひとりに惚れずにいられないようなリアリティなのです。ああ、再読したいが見つからない。うう。電子書籍でいいから出して欲しい。

北杜夫さんという人は、精神科医なのに自分が躁鬱病をわずらってもいて、ご家族はそれは苦労したらしい。娘の斉藤由香さんの文章というのは読んだことがないのだが、この機会に一度読んでみようかなと思う。

あと、90年代にNHKがやってた、「世界わが心の旅」というシリーズものの紀行番組があって、これに北杜夫が出てた回がすごくよかった。ラストシーンがめちゃくちゃよくて、北杜夫がカジノでまけちゃって、借りたお金もすっちゃってぼろ負けして、本人が言うには、カメラマン一人残して同行者もみんな行っちゃったと。で、最後の台詞がたしか、「みんなもう僕をおいてかえってしまいました。僕はいったいどうしたらいいのでしょう。これはもう、乞食をするしかなくなりました…」みたいなこと言って、それで「プリーズ・ギブ・ミー・サム・マネー」みたいな妙ちきりんな英語で歌を歌いだすんですよ。そんなことやってる間に、おもむろにカメラが空のほうに向かってパンしていって、そのまま終わり、っていう。えええ???っていうシュールなラスト。北杜夫の作品そのままみたいなドキュメンタリーで。すごくよかった。これ、再放送してくれるといいなぁ。

小説家って、やっぱりいいですよね。人は死んでも、作品は残る。北杜夫さんの作品は、100年経ってもやっぱりその時代の誰かに、愛されるような気がする。北杜夫さんの作品がそうだったように、亡くなったことは寂しいんだけど、しめっぽい気分にはあまりならないのです。この、軽やかさが、とてもとても素敵だった。謹んで、ご冥福を祈ります。


posted by なつめ at 00:16| Comment(2) | TrackBack(0) | おとなが読む本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ここにきて偉大な方々の訃報が多いですね。。
うちのPCもキタモリオの変換が変で少々いらっとしました。

やっぱり代表作は『どくどるマンボウ』や『楡家の人びと』ですよね〜
おいらは『怪盗ジバコ』などのファンタジー系も好きです。

お父さんは偉大な茂吉さんで
お兄さんは精神科医の斎藤茂太さんでエッセイを書かれているんですよね。
精神科医&文学一家なんだなぁ・・・と。

謹んでご冥福をお祈りいたします。
Posted by 雪んコ at 2011年10月28日 23:16
◇雪んコさま:
お医者さんで小説家っていう人案外多いですよね。斎藤茂太さんっていう人も面白い人で、それぞれに味わいがあったけれど、あちらでまた楽しく再会なさっているのかなぁ、なんて思います。合掌。
Posted by なつめ at 2011年10月29日 15:23
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