2014年09月15日

文楽9月東京公演「双蝶々曲輪日記」みてきた。

昨日は、国立劇場に文楽9月公演「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」を観にいってきました。世話物で、私がこれまで見てきた文楽作品の中では考えてみると初めて主要人物が誰も死ななかった。←そこに驚いてどうする

今回は母の大学同窓会を通じてとってもらったチケットで、公演のあと、三味線の野澤錦糸さんのミニ講演会をきくことができて、ちょっと観ただけではわからない薀蓄を色々教えてもらったので、二度美味しい観劇となりました。

錦糸さんのプロフィール等は、こちらのルネさんのサイトが詳しいのでどうぞご覧ください♪文楽関連のオススメ本とかもたくさん紹介されていて、勉強になりますよー。

濡髪(ぬれがみ)長五郎と放駒(はなれごま)長吉という二人のお相撲さんの達引き(たてひき)と、花魁の吾妻と駄目ボンボン山崎与五郎との駆け落ち話が軸になったお話です。人間関係複雑すぎて全然説明できねぇ、って感じなんですけど、とにかく優男駄目ボンの与五郎と花魁吾妻は恋仲で、身請けの話も進んでるんですけど(でもマジで赦せないことにこの馬鹿ボン、奥さんいるんだよ!あとからでてくるお照)、別の侍、平岡郷左衛門が強引に吾妻を身請けしようとする。で、与五郎のお父さん(大金持ちの商人)に贔屓にしてもらってる力士の濡髪長五郎が、同じ力士の放駒が平岡に贔屓にしてもらってることを知って、相撲の勝ちをわざとゆずって、手を引かせようとするんだけど(←ここの理屈が正直よくわかんない)、「マジかよ!わざとまけたのかよ!俺は真面目に勝負してたのに!赦せん!」ってんで、一本気な長吉は腹を立ててしまって喧嘩になってしまい、ついには決闘することになる(←このあたりの飛躍もよくわかんない)

で、長吉ってのはお父さんも死んじゃってて、継いだ米屋をひとり切り盛りしてるお姉さんとの二人暮らしなんだけど、まぁヤンキーっていうか、悪い仲間とつるんで喧嘩ばっかりしてたりするんですね。で、ここらの事情をあとから錦糸さんに説明してもらったんですが、この時代のお相撲さんって、半分ヤクザっぽいていうか、贔屓にしてもらってる武士や豪商のボディーガード的なこともやってたんだそうです。だから、贔屓の客の揉め事とかにも手を貸すことになる、という裏事情があると。そこで初めて「なんで相撲取りがこんなに贔屓の客のプライベートに関わらなきゃなんないの?」という謎がとけたんですが、まあとにかくそんな感じな上に、本人の性格も喧嘩っ早いし乱暴だし、ってんであちこちでトラブルを起こしているわけ。で、姉が同業者の会合に出かけている留守の間に、長五郎と決闘始めちゃう。

なんだけど、そこに、長吉に乱暴されて店の者に怪我させられた上に財布を盗まれた、と主張する商人たちがどやどや入ってきて、決闘どころじゃなくなります。長吉は、自分は喧嘩はするけど泥棒なんかしない!と言うのですが、引き出しから紙入れが出てきてしまう。自分は潔白だ、という長吉は自害しようとするのだけど、それを長五郎がとめて、長吉姉に父の命日にも関わらずそれすら思い出さない様子で喧嘩三昧、決闘までやらかすような生活を叱られます。財布を盗んだ濡れ衣は、実は姉が同業者たちに弟の生活について相談して、彼を反省させるために一芝居うったのだということがわかり、話は一段落。諌めてくれた長五郎と長吉も、義兄弟の契りを結びます。

が、そこへ例の馬鹿ボン与五郎と吾妻が、平岡の強引な身請け話に身の危険を感じて駆け落ち、それを平岡の手のものが追っているという知らせが入ります。贔屓筋の息子の一大事ってんで、長五郎はその場に駆けつけざるを得なくなります。二人の守るために、長五郎は追手の侍を殺してしまうことに。

この場合、馬鹿ボンはやられっぱなしでマジ使い物になりません。だいたいこの「遊女に惚れる馬鹿ボンのせいで周囲の人がみんな超迷惑」というのが文楽人情もののテンプレなのですが、今回の与五郎の駄目さ加減はもうこれまで見た色んな駄目ボンの中でも群を抜いて駄目ボンだし無神経だしもう超イライラしました。だってさ、命がけで助けてもらっといて、私のために人殺しまでさせてしまった、申し訳ないから俺死ぬ!とかって刀出してとめてもらったりしてるんだよ!で、とめられたらすぐ「それもそうだよね。ありがと!」つってまた他人に助けてもらって駆け落ち続行なんだよ。なんなんだこの甘ちゃんは!!すみません話が脱線しました。で、とにかくあとからかけつけた長吉が二人を逃がしてやり、人殺しになった長五郎には身を隠すことをすすめてこの場は終わり。

与五郎には正妻がいることを前に書きましたが、そのお照さんは夫婦仲がイマイチということで実家に帰ってきてます。そこに!そこにこの駆け落ちの二人が「かくまって」っていってくるんだよ。この「橋本の段」というのはめったに上演しないそうなんですが、まーもーこの馬鹿夫のずうずうしいこと無神経なこと!

舅がいないのを家のぞいて確かめてからこっそり入ってきて、「やーお前に会いにきたんだけどさ…」とかって奥さんに切り出し、「なんだけどちょっと連れがいてね…」っていうのが浮気相手の花魁という。で、匿って欲しいとか言い出すし、奥さんが「私があなたの気に入るタイプだったらあなたにこんな苦労はさせなかったのに…」ってちょっと泣き言言おうものなら「だから匿ってくれんの?駄目なの?どっち!」とかせかすし、マジかよ!というので昼休みのあとですが全然眠くならなかった私。他人に人殺しまでさせて逃げてきたのにさぁ、籠の中で結構吾妻といちゃこらしてたりするんだよ。何でお前そう能天気なんだよ!腹立つ!はぁ、文楽の駄目色男には毎回イライラします。

そして正妻のお照さん、お人よしもいいところだと思うんですが、吾妻をあっさり匿ってあげることにして、夫にはとにかく自分の実家にいったん帰りなさいと諭すんですが、そこに元武士で頑固オヤジって感じのお照さん父(舅)がでてきて、お前ら二人ともかくまってやるが、娘と別れさせたくないがためにかくまったなんて世間から言われるのはわしのプライドがゆるさないから、かくまってやる代わりに娘と離縁しろ、と迫るわけです。

ここんとこ、理屈はともかくお父さんの気持ちわかるっていうか、離婚もせずに女作った挙句にかくまってちょうだいなんていうハンパやる男に娘をここまでコケにされて、父親としちゃ黙ってられないよね、当たり前だよ!と思ったんだけど、お照さんは夫をまだ好きだったりするから可哀想。そして日陰の女の吾妻は自分のためにこんなことに…と心を痛める。そして馬鹿ボンだけが「離縁状書いてかくまってもらうか、書かずに訴え出られるかどっちにする!」と言われて、あっさり三行半書いちゃうという。なんなんだこいつ!でもその離縁状、書くだけかいたものを吾妻がとりあげて「これは私が預かります、書けと言われたものは書いたんだから勘弁して」というちょっとずるい気がするみたいな理屈でどうにかその場をおさめます。

そこに与五郎の父親が、嫁のお照を連れ戻そうとやってくる。息子どうしようもないから場合によってはお照にあとを継がせる、なんてことを言ったりする与五郎の父ですが、それも納得しないお照の父。お前金持ちのくせに息子に花魁の身請けの金も出してやらないケチじゃないか!とか、それぞれ子どもを思ったり、義理をたてたりしようとしてのことではあるんだけど、互いのやり方が気に入らない親同士が、今度は喧嘩になってしまう。

で、ついに刀まで抜いたところで、吾妻たちを乗せてきた駕籠かきの老人がとめに入って、自分が吾妻を説得して別れさせると言い出すんですね。これがまたなんと(文楽にありがちな)吾妻のほぼ生き別れ状態だった実の父親でした、ということで、この父親が娘をいさめてわかれさせようとする口説きと、それに対して娘吾妻が自分のためにこんなことになったのに与五郎さんを見捨てられない、といって自害しようとする。それをまた舅たちがどうにかとめて、三者三様ながら老いた親たちが子どもを思う気持ちがそれぞれに吐露されて、どうにかこうにか話は丸く収まります。

で、最後が一番有名な「引窓」という段で、これは殺人者になってしまって追われる身になった長五郎が、ひと目老いた母親に会いたいと思って実家を尋ねるところなんですが、家では長五郎の異父兄で、家を継いだ十次兵衛が、長五郎の探索を命じられたために起きる駆け引きが中心になります。母は、目立つほくろの似顔絵を、十次兵衛から買い取ろうとする。手水にうつった濡髪の姿を隠そうと、嫁のおはやはまだそう暗くもないのにあわてて引窓をしめて「もう夜ですし…」なんて言い訳をしたりする。その二人の様子の不審さに、十次兵衛は母親たちが長五郎をかくまっていることを察するのですが、わざと声高に逃げ道を教えてやったりして、逃がそうとしてくれます。

前髪を切り落とし、姿を変えて長五郎を逃がそうとする母ですが、父親似のほくろだけは切り落とすことができない。そこへ外から「路銀」とかきつけた金を十次兵衛が投げ込んで、ほくろをつぶしてくれたりする。とにかく逃げて生き延びてほしい、という母に対して、長五郎は、実の息子可愛さに、十次兵衛への義理を忘れているではないか、と母を諭し、義理の兄に自分を捕らえさせて欲しいと縄を打たせます。泣く泣く実の息子に縄をうって捕らえさせようとする母ですが、そこに入ってきた十次兵衛は、引窓をあけて、明るい月をみて「ああもう夜が終わった、自分が探索を担当するのは夜の間だけだから、もう明けて今日は放生会の日だ」と言って(無理やり)、長五郎を逃がしてやる、というとこでおしまい。いくら月明かりったってそんなに明るいわけないじゃん!というわけで、そこはひたすら十次兵衛の優しさなのですが、まあこの印象的な引窓のトリックがうけて人気演目になったんだろうなぁ、という感じ。

人は死なないし、年取った親が子どもを思う気持ち、というのが重ねて出てくるので、お年寄り向け人情話って感じでした。だけど終わってから聞いた解説では、実は今回演じられていない段の中で、ハッピーエンドに見えた与五郎と吾妻のもとに郭から追手が迫り、この馬鹿ボンが恐怖のあまり発狂してしまう、というオチがあるんだそうで、私はそっちバージョンのほうが観てみてかったなぁ…。だってこの優男が優柔不断で離縁もせずに女つくってしかも金の工面が自分じゃできなくて身請けが遅れて、っていう甲斐性のなさがそもそものトラブルの原因なのに、周囲の人になんとかしてもらうばっかりじゃん!っていうのが納得いかなかったので。

あとから聞いた講演では、錦糸さんが出演された「橋本」の段を中心に解説していただいたのですが、登場する地名はいずれも大阪に実際に残っている地名であることとか、与五郎のモデルとなっているであろう豪商の話とか、とても面白かったです。与五郎の父親は「山崎与次兵衛」っていうんですが、この「山崎」は今サントリーのウイスキー工場がある山崎の地名から。橋本は、かつて遊郭があった場所で、今でも当時をしのばせる建物が残っているのだとか。

また、かつて大阪には重要文化財の「淀屋橋」に名を残す淀屋という豪商あったのだそうですが、その五代目の辰五郎の代で、遊行にふけり、新町の花魁「吾妻」にいれあげて、2000両という当時でも考えられないような金額で吾妻を身請けしてるんですね。その後町人の分際をわきまえぬというので財産没収、取り潰しになっている。駄目ボンの与五郎は、この辰五郎がモデルではないかと考えられているそうです。

あと、下女の台詞に出てくる歌舞伎役者の名前が当時実在した歌舞伎役者の名前であることとか、話題として出てくる演目が実際流行っていたこととか、ちょっとした台詞の中にある言葉遊びの意味とか、いろんな薀蓄をきいて、すごく勉強になって面白かったです。とりあえず毎回、パンフレット見てざーっとストーリーだけ頭に入れて観劇しているのですが、もうちょっと色々予習していくともっと面白いのかなぁーと思いました。ああ、またはまりはじめている…。今年はスパショの遠征もあるし、11月の大阪公演は諦めようかなぁ…とちょっと思ってたのですが、やっぱり行きたくなってきたなぁ。

EXOのロストプラネットのコンサートで比較すると、公演2時間ぐらいでチケット12500円とかでしょう?文楽は4時間半楽しめて、その半額ですよ。コスパすごいですよ!ペンライトつかないけど!学生さんなんか更に安くて、4000円ちょっととかなんですよ!是非是非、多くの人に足を運んでいただきたいなぁと思います。12月にはもっとお安い入門編、「文楽鑑賞教室」もありますよー。

SJのmamacita活動二週目、さすがにインガは無理だろうと思ってたけどグランドスラム達成!本当に嬉しいです。短い活動だったけど、兵役終わって帰ってきたジョンスに、いっぱいプレゼントできたなぁーっていう充実感あるな。なんか、リパケが出るとか出ないとかの噂はどうなんでしょうか。あんまりレコーディングしてる気配はないけれど…。


それにしても近頃のインガのカメラワークにはイライラしますね。要らん画面効果も多いし、前のカメラマン退職したんだろうか。83司会いいですよねぇ。なんかまた、兄さん組にテレビ番組やって欲しいよー。

さて、今週も忘れないジョンデ推しですが、なんかいい加減にカテゴリ作ろうかとか思いだしました。近頃クリチェン欝もあいまって回顧厨もいいところなので「回顧厨のための初期ジョンデ」とかw

ルハン休養で10人体制で乗り切ったバンコク公演から無事に帰ってきたEXOちゃんたちですが、空港写真でたおちゃんが着てたトレーナーが、去年日本にきたときジョンデが着てたトレーナーだったことに気づいて萌えました。
Tao.jpg

なんせあれですから、レイチェンシッパー的に絶対外せないこの写真のときの服ですから!
laychen131025.jpg

ポイントはジョンデだとぶかぶかで萌え袖になってるんだけど、たおちゃんだと若干丈が足りてないあたりですね。



この日はルゥチェンもあったなー。
LuChen.jpg

次の週末はルハンの地元の北京での公演なので、元気な姿が見られるといいですね。


posted by なつめ at 21:46| Comment(4) | TrackBack(0) | おでかけメモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、なつめさん。

私も11月の帰国の際に、大阪国立で同じ文楽を鑑賞する予定です。
三浦しをん氏の仏果を得ずを読んでから、一度本物を観てみたくなり、初文楽なのでなつめさんの記事で予備知識をいただきました。
友人の話しですと、10月にチケット発売だとかで、いいお席になるといいな〜と(笑)

なつめさんの記事を読んで、益々楽しみになりました。
Posted by ハル at 2014年09月16日 07:48
なつめさんの文楽レポ、楽しみにしてました!
私は文楽のぶの字も知らないド素人でほんの少しTVで観てから興味持った程度…。なんとなく敷居高そうな、着物着た上品な方の観るものというイメージから未だ本物を観たことがありません。内容もド素人の私に解るのかな?とか思っていたので、なつめさんがレポで噛み砕いてわかりやすく解説してくださるのを見て勉強してます^^もろもろの事情であと数年後じゃないと観に行けなそうですが、それまでに勉強ておこうと思います。また行かれたらレポお願いしますm(_ _)m
こういう日本の素敵な文化が守られて引き継がれて、衰退しないことを心から願っています(*^^*)

そしてMAMCITAグランドスラム〜♪トゥギにたくさんトロフィ持たせてあげれて嬉しいです。留守を守ったヒョクちゃんのトロフィ持った表情もぐっとくるものがありましたTT
今回1位が難しいと聞いて初めてカムバの応援もしました!6集でトゥギのいってきますトレカ、7集でもトゥギのただいまトレカ…これは何か意味があるんだ!ELF愛でお返ししなければ!と。(←すみません妄想です♡)
なにせ40歳過ぎての初の経験で訳解らないことだらけwww大したことは出来ませんでしたが、良い結果に繋がって嬉しかったです^^
カムバ活動は一区切りみたいですけど、これから始まるスパショがとっても楽しみです♪東京ドームか一層待ち遠しくなりました。

長々と失礼しました。
またブログの更新楽しみにしております(*^^*)
Posted by うにまま at 2014年09月17日 16:43
うにままさん、コメント重複分削除させていただきましたー。本当に、敷居が高いと思われている方多いんですけど、いったらびっくりするぐらいわかりやすいと思うと思います。鑑賞教室など気軽なものもありますから、是非一度足を運んでみてくださいねー。

ハルさん、大阪行かれるんですね。今回とは配役がちょっと違うらしいんですが、楽しんできてください!ていうか行きたい…私が大阪行きたい…
Posted by なつめ at 2014年09月20日 15:02
大変今更ですが…TwitterでSJ某氏の騒動リツイからこちらを拝見し、おお、ここにも文楽ファンが!と喜んでいます^o^
東京9月公演はファルスタッフのみで双蝶々〜は地元大阪で見る予定なので丁寧なレポ、予習になりました。ありがたいです。当方はけーぽは初心者のTVXQファンなので、そそちらでの接点は薄いかもしれませんが、ヒチョルさんの兵役前ステージでSJにも興味を持った者です。これからブログも楽しみにします!
Posted by ぺんぎん_にやリ @redpenguinsky at 2014年10月18日 01:51
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。