2005年10月20日

あれから20年…『不運な女』リチャード・ブローティガン

ブローティガンの小説が大好きで、『西瓜糖の日々』の名前まで借りてブログをやっているというのにこの私ときたら。最近クソ忙しくて書店めぐりもしていなかったもので、このブローティガン最後の小説が、ようやっと出版されたことにも、つい最近まで気づいていなかったのです。


リチャード・ブローティガン『不運な女』
藤本和子・訳(新潮社)


リチャード・ブローティガン(米国ワシントン州出身)は、1935年1月に生まれ、1984年10月にピストル自殺して死んだ。今月25日は彼の命日でもあります。この小説を翻訳している藤本和子が、大半の作品を翻訳し、評伝『リチャード・ブローティガン』も出版している。同じく新潮社からだが、彼の作品の多くは晶文社から刊行され、絶版の憂き目にあっています。

Richard Brautigan】…全著作リストなど。CENTAURYさまサイト「極私的アメリカ文学ファイル」より。

私が彼の作品を発見した中学生ぐらいの頃、ちょうど彼は自ら命を絶ったのでした。死亡時に当時の、比較的とんがった雑誌に特集があって、かなり高かったのに買った覚えがある。でも雑誌の名前ももう思い出せないし、手元にも残っていません。あれから約20年。死んだ作家は新しい小説を書くことはないけれど、こんな風にしてまた彼の作品を読むことが出来たことを、私は幸せに思い、同時にとても痛ましく思うのです。

小説は、首吊り自殺したある女性をめぐる、旅の物語。旅、といっても、ブコウスキーの酔いどれ紀行みたいなハチャメチャで物悲しくもパワフルでクレイジーな旅行記とは違う。

ひとりの女性の死をめぐり、小説家の旅も、メモのようなこの小説も、さまよっては口ごもる。まるで彼自身の旅立ち方を予感させるかのように。その痛ましさと優しさを、やっぱり私はすごくいとおしく思う。小説家は死んだけれど、その旅はまだ終っていない、ような気がします。交差点に片方だけ残された靴が、永遠に旅を続けるように。


posted by なつめ at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | おとなが読む本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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